ブライス・キャニオン国立公園とキャピトル・リーフ国立公園の旅行記

はじめに

ブライス・キャニオン国立公園とキャピトル・リーフ国立公園はユタ州の南部にある国立公園。ユタ州のマイティー・ファイブ(Mighty Five)と呼ばれる5つの国立公園の2つ。ブライス・キャニオン国立公園はパステル・ピンクの尖塔が有名。キャピトル・リーフ国立公園はキャニオンの岩が多彩な色で、先住民に虹が眠る大地と呼ばれてでいた。

11月の初旬に訪れたのだが、アーチーズやザイオン国立公園を訪れていた先週までの暖かさとうって変わって寒波のため積雪。ブライス・キャニオンでの早朝の撮影をした日は最低気温が-15度になり大変だった。雪景色のブライス・キャニオンを楽むことができたのだから、かえってラッキーだったのかもしれない。

ブライス・キャニオン国立公園(Bryce Canyon National Park)
ブライス・キャニオン、朝日

ブライス・キャニオン国立公園の最大の見所はフードゥー(hoodoo)と言われるパステル・ピンクの尖塔が無数に集まる巨大な円形劇場(amphitheater)と言われる所。その周囲にはサンライズ、サンセット、インスピレーション、ブライスポイントの四つの展望所と、そ ム・トレイルがあり違った角度から円形劇場を見下ろす景色が楽しめる。

円形劇場の展望所から南に続く道路沿いにもナチュラル・ブリッジやレインボー・ポイントなどいくつか見どころがあるが、雪のため道が閉鎖されて行けなかった。

ブライス・キャニオンは2500mの高地にあり気温差の激しい環境がフードゥーの形成に寄与したらしい。岩肌の亀裂に染みんだ水が氷になったり水になったりして膨張・収縮を繰り返すことで岩の浸食が進んだらしい。

プライス・キャニオンに行く前日に雪が降ったので、フードゥーの先端には雪をかぶっていてパステル・ピンクの岩と雪の対比がとても印象的だった。

プライス・キャニオンにはカナブから着いた午前中、午後、翌日の早朝の三回行った。フードゥーが無数に集まる円形劇場は南東向きの斜面になっているので、午前中が光の具合が一番いい。午後はフードゥーが影にはいりコントラストがきついく写真は撮りにくい。でも午後に訪れた主な目的は翌朝の朝日の撮影の下見。

翌朝の日の出の撮影はサンセット・ポイントからナヴァホ・トレイルを100mほど下った所で撮影することにした。雷神のハンマー(Thor's Hammer)という有名なフードゥーの目の前。日の出の時間の気温は-15度の寒さで、滞在中一番寒い日だった。北国に住んでいるのでそれほど驚くほどの気温ではないが、この寒さに備えた防寒具は持ってきていないし、しかも撮影となるとハードルが高い。幸い風が殆どなく、撮影ポイントは駐車場から近いのでなんとかなった。日の出の40分前に駐車場に着いたら4-5台の車がすでに待機している。20分ぐらい前になるとみんな撮影ポイントに向かっていった。

2日前にナローズで三脚を片付けるときに雲台のレバーを壊してしまい、縦位置での撮影しかできないというハンデの中、さらにもう一つのトラブルが発生。三脚の脚が伸びない!ナローズで使って濡れた三脚の脚が凍ってしまったよう。日の出まであと10分でのトラブルで焦ったが、なんとか三脚の脚を一段だけ伸ばすことができて事なきを得た。

シーダー・ブレイクス国定公園(Cedar Breaks National Monument)
シーダー・ブレイクス国定公園

シーダー・ブレイクス国定公園はブライス・キャニオンと同様にパステル・ピンクの尖塔が無数に集まる巨大な円形劇場(amphitheater)が見どころ。円形劇場を取り囲むようにいくつかの展望所があり、車で見て回ることができる。ブライス・キャニオンよりもさらに高い標高の3000mの山の中にあり、円形劇場はかなりの傾斜を見下ろす。

その名前が示すとおり公園は針葉樹の森に囲まれていて、円形劇場のところだけぽっかり穴が空いているという感じ。ザイオン・キャニオンに行く前、まだ雪が降る前に行ったので、ブライス・キャニオンの雪化粧とは違う雰囲気を楽しめた。

ハイウェイ12のシーニック・ドライブ(Highway 12 Scenic Drive)
ハイウェイ12のシーニック・ドライブ

ブライス・キャニオン国立公園とキャピトル・リーフ国立公園をつなぐ200kmほどの風光明媚なハイウェイ。途中にはいくつかの州立公園(Kodachrome Basin State Park, Escalante Petrified Forest State Park, Anasazi State Park)があり、Grand Staircase–Escalante National Monumentへ入るいくつかのダート・ロードがある。

エスカランテの町の近くにはZebra Slot Canyon(シマウマの名の通りしま模様の岩で有名)や Peek-a-Boo Slot Canyonがあり行きたかったが、今回は時間がなく断念した。寄ったのはコダクローム・ベイスン州立公園とハイウェイ沿いの展望所だけだったけれど、それでも十分楽しめた。

コダクローム・ベイスン州立公園はコダック社のフィルムの名前がついた公園で、煙突状の石柱が特徴的。

ハイウェイ12のシーニック・ドライブ

ヘッド・オブ・ロックス(Head of the Rocks)展望所はエスカランテの町から東15kmほどの所にあり、クリーム色と赤茶色の壮大なエスカランテ・キャニオンと雪を冠した山脈が雄大な景色を作る。

ボウルダー(Boulder)の町を過ぎると山を登り始める、森のなかに入り今までの景色が一転する。山を登りきったところにあるホームステッド(Homestead)展望所とラーブ・ハーロウ(Larb Hallow)展望所からはキャピトル・リーフ国立公園の巨大な褐色の岩と、その背後のヘンリー山脈が美しい。

キャピトル・リーフ国立公園(Capitol Reef National Park)
キャピトル・リーフ国立公園

キャピトル・リーフ国立公園は太古の地殻変動により150kmほど南北に伸びるひだ(Waterpocket Folds)ができ、その後の浸食作用で柔らかい地層部分が削り取られ谷となり、硬い地層部分が断崖となり現在の地形が形成された。南北に長く伸びるひだの様子はハイウェイ12のホームステッド展望所やラーブ・ハーロウ展望所から見るとわかりやすい。ひだの部分ではいくつもの違った地層が表出するため、キャニオンの岩は多彩な色のものになった。先住民のナヴァホ族は虹が眠る大地(Land of the Sleeping Rainbow)と呼んでいた。キャピトルの名前はその中の白いドーム状の岩がアメリカの国会議事堂に似ているためとのこと。

公園の入口から南北にのびるシーニック・ドライブはまさにひだが溝状に浸食された谷を走る。雨が降ったら川になるドライ・クリークがシーニック・ドライブと何回も交差する。キャピタル・ゴージ・トレイル(Capitol Gorge)やグランド・ウォシュ・トレイル(Grand Wash)は、そのヒダから横方向に断崖を削り取ってできたスロット・キャニオン(狭い渓谷)の中のトレイル。

フルータはモルモン教の入植者が暮らしていた町。当時学校、家や果樹園が残っている。収穫時期にはフルーツ狩りを楽しめる。

その他の見どころとしてCathedral Valley, Sunset Point, Gooseneck Point, Hickman Bridgeなどがある。

キャピタル・ゴージ・トレイルに行くダート・ロードでオオツノ・ヒツジ(big horn sheep)の群れを見た。雄のクルッと巻いた立派な角を持っている。以前ここに来たことがある友人から同じ場所で群れを見たと聞いていたので、よく出るのかもしれない。

ゴブリン・ヴァレー州立公園(Goblin Valley State Park)
ゴブリン・ヴァレー

ゴブリンとは邪悪な小人の意味で、ゴブリン・ヴァレーには無数の岩でできた小人たちがいる。ゴブリンはほとんどが数m大の大きさで様々な形をしている。小人やらきのこやら、ペンギンやら想像力を働かせるといろいろなものに見えてくる。中には台座に鎮座しているゴブリンもいる。

驚いたことに、公園内にはハイキング・トレイルはなく、ゴブリンがたくさんいる谷を自由に歩け、ゴブリンのすぐ近くまで行ける。ゴブリンの近くの地面はもろいので規制したほうがいいのではと思ってしまう。

フォトギャラリー

ブライス・キャニオン国立公園

キャピトル・リーフ国立公園

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最終更新日:2021年2月1日